第13回 1月19日放送
ゲスト:松本 栄文さん(TOKYO ICHIBA NETWORKメンバー)

2015年度中の完成を目指して現在整備中の豊洲新市場。
このコーナーでは、都民の台所である市場について、そして、実際に市場で働いている方々の声とともにTOKYO ICHIBA PROJECTが豊洲新市場の開場に向けて発信している情報をお伝えしてまいります。

松本アナ:今週は、料理人・食品学者として活躍していらしゃいます、松本 栄文(まつもと さかふみ)さんにお話を伺って参りました。さっそくお聴きください。

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松本アナ:今日お話を伺いますのは、日本料理のお店「佐原茶寮 花冠(さはらさりょう はなかんむり)の司厨長(しちゅうちょう)」をおつとめでいらっしゃいます、食品学者の松本 栄文さんです。

松本栄文さん:こんにちは。よろしくお願い致します。

松本アナ:まずこのお店のこと、そして司厨長というお仕事のこと、そして今やっていらっしゃる食品学者としての松本さんのお話を簡単にお願いしてもよろしいですか?

松本栄文さん:はい。私は本業は料理人なんですけれども、基本、暇人なので、全国をあちこちプラプラするのが本業でしてね、その土地で出会ったものを見て、そこに根付く文化、そういったものを多くの人達に伝えていく。その伝え方を、できるだけ料理を通じて伝えたい。そんな思いもありまして、料理人もやっているんです。

松本アナ:そうすると、暇人とはおっしゃいますが、全国津々浦々の美味しいものを見つける、これがお仕事ということでしょうかね。

松本栄文さん:そうですね、はい。

松本アナ:松本さんは料理人としての御活躍はもちろんのこと、東京農業大学の研究員として、その他、数々の大学・専門学校で講師もおつとめの他、「日本文化を愛でる会」を主催されまして、日本の伝承・伝統文化の普及にも、力を注いでいらっしゃいます。これも食を通じてということでしょうか。

松本栄文さん:やっぱり日本の歴史を敢えて伝えるとしますと、難しくなってしまうんです。だったら食いしん坊の視点から読み解いた方が良いんじゃないかなって思いましてね。

松本アナ:そんな松本さんに今日は、市場「築地」の魅力を伺いたいのですが、いかがでしょうか。

松本栄文さん:築地には、幼稚園くらいのときから、場内をうろちょろしておりましてね。うちのおばあ様が女性初の調理師免許を取っている方でして。別に料理人でもなかったんですけれども、魚河岸にはよく出入りをさせていただいておりました。その時に、この時期でいきますとあじ、もう本当に金色に脂の乗ったあじっていうものがこの時期は良いですけれども、そういったことも、子供の頃から教えてもらっていたんですよね。なので私の中でいくと、築地っていうのは魚のこと、食材のことを改めて教えてくれた場所でもあったんです。その築地っていうものが、今これだけ江戸文化の拠点を築きあげてきた、その最大の理由っていうのは、東京湾に隣接している市場、ここがやっぱり他の市場に比べて圧倒的に違うところだと私は思うんです。市場っていうのは魚河岸が始まりです。魚河岸ってことは船の出入りができる場所じゃなくてはならない、船の出入りができるところは、様々な多くのものが集まってきますから、物流の拠点となり、文化が始まってくるんですよね。特に築地が発展したおかげで、お祝いのときに食べる「鯛(たい)の塩焼き」がありますよね、鯛の塩焼きっていうのは、幕末ぐらいまではそんなにめでたいものではなくてですね、昔のめでたいものっていうと、鯉(こい)だったんです。

松本アナ:そうなんですか。

松本栄文さん:なぜかっていうと、京都の方は海が遠いですよね。なので淡水魚の鯉だったんです。でも、関東に拠点が移ったときに、関東は海が豊富です。逆に、美味しい鯉が少なくて、美味しい鯛がいっぱいあったんです。なので本当に、武家社会と築地っていうものがですね、鯛が縁起が良いっていうのを担ぎあげいてると。だから日常さりげない縁起物の鯛、だけれども歴史を読み解くとそんなにも深いものではないんですよね。なのでその時代時代の価値っていうものも含めて生み出してきた、それが市場なのかなぁって私は思っております。

松本アナ:はい。

松本栄文さん:特に今回はですね、豊洲に移転をするという話も出ておりますけれども、市場にはその時代時代にあった役目というものがあると思うんです。だからこそ私はですね、今度の豊洲に求めるものは、豊かな食文化を育む拠点ではなく、本来の物事のつながりはこういうものであるっていうことを改めて伝える拠点になってもらいたい。特に築地市場は世界の市場の中でもやっぱり日本ですから、物流が当然拠点になるのは当たり前なんですけれども、ただこれからプラスアルファで求められてくるのは、物事のつながりっていうことなんです。だからこそ、新たな役目っていうものが、今この食を取り巻く日本社会の中には、課題として残っていますから、豊洲には是非築地でできなかったことっていうものを改めてですね、それを主の柱としてやっていただきたいなってものを、期待しております。

松本アナ:松本さん、今日はお忙しいところありがとうございました。

松本栄文さん:ありがとうございます。

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夏目さん:市場というものは、みんなに愛される変わらないものかと思っていましたが、時代に合った役割があるというのが印象的でした。

松本アナ:本当ですね。